ベティの小さな秘密(Je m'appelle Elisabeth)
舞台は数十年前(と思われる)フランスの片田舎。
ベティ(エリザベス)のパパは、自宅隣にある精神病院の院長、母は元ピアニスト。とっても不仲。。。
そんななか、慕っていた姉のアニエスは、学校の寄宿舎に入ることになり、ベティは寂しさを隠しきれない。
けれども、ベティが自らの寂しさを打ち明けられるのは、隣の病院の患者で、戦争で子どもたちを亡くしてから記憶喪失になり、言葉を発することもできない家政婦のローズただ1人。
そんなある日、ベティは、病院から脱走した青年患者イヴォンを発見。
パパやママにばれないように、納屋にかくまうことにしたのだが。
というお話。
いろんなことを考えさせる映画でした。
パパとママは不仲、姉もいなくなり、学校では軽くいじめられ、、、そんなベティが心を許せるのは、“精神病患者”であるローズやイヴォンだけだった、ってのが皮肉ですよねぇ。
てか、“精神病患者”と言われる人々はほんとに“病人”なんだろうか?とか思っちゃう。
社会の人々にはとけこめないのかもしれないけど、子どもとは心を通わすことができるんだもん、そんなの病気でもなんでもないじゃん。
てか、薬なんかよりよっぽど、子どもと接するほうがいい“治療”になるんじゃないですか?
とか、
パパは、精神科の医師であるにもかかわらず、自分の家では、妻に浮気され、娘は孤独にさいなまれ、家庭崩壊に向かうんだなぁ〜。
自分の家庭すら守れない人が患者を治せるんだろうか?
とか。
大自然のあふれるロケーション、木々の、緑や、秋口の紅葉などがとってもきれいで、そのなかに、ベティの真っ赤なコートがよく映えて、すごく、きれいな映像に感動した反面、全編に、ベティの心の叫びがしみわたっていて、見ていてすごくせつなくなりました。
原題 "Je m'appelle Elisabeth" は、英語で言えば "My name is Elisabeth" つまり「私の名前はエリザベスです」という意味。
映画の中で、ベティが、イヴォンに「私はエリザベス。でもみんな私をベティと呼ぶから、ベティと呼んでね」って言って、イヴォンはベティと呼ぶようになるんだけど、でも、ベティが、「エリザベスと呼ばれるととっても嬉しい」とぽつんと漏らすシーンもあるんだよね。
それってなんか、ベティの本心をよく表していると思う。
ベティはたんなる愛称で、本当はエリザベスという名前なわけでしょ。
エリザベスと呼んで欲しい、ってのはつまり、「本当の私を見て!」ってことなんじゃないかなぁ〜と。
「私、ひとりぼっちなの。助けて。」という、心の叫びなんじゃないかなぁ〜っと。
パパもママも昔はベティみたいに感受性豊かで繊細な子どもだったんだろうに、大人になると、そういう気持ちはどっかに行っちゃうんだろうね・・・
自分たちのことでいっぱいいっぱいになって、子どものことまで気がまわらなくなっちゃって。
そしてそのしわよせが来るのはいつだって子どもなんだ・・・
そんなベティが、自分より「弱い」イヴォンに出会い、イヴォンの世話をすることで、自分の居場所を見つけるようになるというのも、なんだか皮肉というか、なんというか。
最後は一応、家族は再生、ローズもイヴォンも“治療”が一歩前進したかたちで、ハッピーエンドだったんだけども、「そこまで話がでかくならないとあなたたちは子どもの孤独に気づいてあげられないんですかっ!」って気もしつつ。。。
ともあれ、微妙な心理描写をうまく映像化した、いい映画だと思いました。
2008年11月20日
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